老親に学ぶ―「自分との戦いモード」
ここにきて高齢者住宅に住んでいる母親からの手紙が頻繁に来るようになりました。
多いときでは週に3通。
堂々巡りのグチを3~5枚、改行もせずに便箋にびっしりです。
前にも触れたけれど、私の母親は耳が聞こえないので、電話ではなく手紙なのです。
そこには、夫(私の父)の悪口と生活の不便のグチ、自分の能力低下への落胆が、延々と繰り返されています。
「心配しないでください」を連発しながら、ネガティブなエピソードを書きまくる、矛盾だらけの彼女の手紙。
私は読んだらすぐに捨てています。
なぜなら、これは電話できない彼女のガス抜き行為。だれも自分が人の悪口言いまくった記録なんて残してもらいたくないと思うから。
実は初めてこの悪口手紙をもらったときは、相当にうんざりしました。
でも今は、彼女がストレスコントロールをちゃんと出来ていることに感謝する気持ちに変化しました。
急速な老化で身体機能と能力が低下している両親から、学んだことがあります。
それは、老いて自分で自分の面倒がみられなくなってきたとき、どんなに依存的な人でさえも「自分との戦いモード」にチェンジするということ。
これまで、ことあるごとに周囲の人や環境のせいにして自分を正当化してきた私の母。
その彼女の今の手紙には、父への文句よりも「昔のように機転を利かせて立ちまわれない自分への落胆」が色濃くにじみ出ています。
そして、こうしてがっかりしちゃうことこそ、彼女があきらめずに一生懸命生きている証と思い、なんだか感動しちゃった私でした。
そして、人はどんな状況にあっても、「自分との戦いモード」でいる限りは、たぶん大丈夫なんだという確信を深めたのです。
お互い、これからもがんばっていこうね、チチハハ! (普段名前で呼んでいるので、”お父さんお母さん”は違和感ありまくりなので)